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 「やっぱりリーダー」  弦崎あるい様 執筆作品

「あぁ、疲れたぁ〜。」
裕子はドカっと床に座り込む。
今日は新曲のダンスレッスンの日だった。
「全く、もっと楽なダンスにしてくれると嬉しいんやけどなぁ・・・・・。」
裕子は汗を拭きながらつい独り言を言ってしまう。
「お疲れ様です。」
可愛い声でそう言ったのは石川だった。
「お疲れさん。なかなかがんばっとんなぁ。」
裕子は石川を見上げて言った。
メンバーを労うっていうのもリーダーとして大事なことだと思うからだ。
「ありがとうございます!」
石川は深く頭を下げる。
「座ったらどうや?疲れとるやろ?」
「あ、はい。」
と石川は裕子の隣に座る。
少し緊張しているようだ。
「石川。」
「はい!」
石川の表情が硬くなる。
「ただ呼んだだけや。」
石川はズッコケて言う。
「な、なんですかそれ。」
「そんな緊張せんでもええよ。別に怒るわけでもないんやから。もっと気楽にいこうや。」
裕子は優しく笑って言った。
「努力します・・・・。」
石川は俯きかげんで言った。
裕子は思い出したように付け加える。
「それと、もう少し自分に自信持ちな。」
「私は、他の皆に比べたら全然ダメです。」
裕子は石川の頭に手をのせる。
「頑張ってるだけじゃうまくはならんよ。自分を認めてあげて、自分に自信が持たんとな。」
石川はしばらく黙っていたが、少しして笑顔で答えた。
「そうですね。」
「じゃ、あたしそろそろレーコーディングあるから。」
裕子は立ち上がる。
歩いて行こうとするが、ふと振り返る。
「辛かったら言うてや。ウチでなくてもええから。無理して頑張ったって体壊すだけや。無理はせんこと。本当は酒飲んで寝れば治るんやけど、未成年やからなぁ。ま、風邪薬と栄養ドリンク飲んで早く寝れば治るやろ。ほな、頑張りや。」
と言って裕子は部屋から出て行ってしまう。
「知ってたんだ、風邪気味のこと・・・・。」
石川は裕子の背中を見て独り言を呟く。
石川には裕子がなんでも知ってるように思えた。
なんだかんだ言いながらちゃんとメンバー全員を見てる。
さすがリーダーだなぁっと思う。

裕子は人気のない廊下を歩きながら
(石川もなぁ、あんな赤い顔して踊るなっちゅうねん。風邪ひいてるのっていうのをアピールしたいんか?)
と思うのだった。

「やっぱりリーダー」(完)

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 2001年2月7日から、のべ人の方に閲覧していただきました。ありがとうございます。

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