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 「un.touched〜離別(わかれ)」  SOL様 執筆作品

第1章

「起っきろ〜!!」
全身にかかる突然の衝撃に亜依は目を覚ました。
「痛ったいな〜」まだ覚醒しきってないその目が馬乗りになっている希美を睨んだ。
もっとも見なくてもこんな起こし方する奴は想像がつく。
「あんた来年二十歳になる女がそんな起こし方する普通!?」
しかし希美は、亜依の言葉にかぶせる様にわざと大きな音をたててカーテンを開けた。
「あんた今日が何の日か知ってんでしょう?目ェ覚めた?」
「あ・・」
忘れていた訳では無い。思い出したくなかったのだ。
「3DAY’Sの最終日・・・」
思えば、メンバーの卒業の日も当日まで何の実感も無かった。
明日になれば何も無かった様な顔で又一緒に仕事が出来る・・・心の隅でいつもそう思っていた。
「うわ〜やっぱ雨だ」
希美に言われホテルの窓から下を覗き込んだ。黒く濡れたアスファルトと、傘をさした集団が遥か下に見える。
「あれカメラかなぁ?」
亜依が返事をしようとしたその時部屋のドアがノックされた。
希美が急いで駆け寄る。ホテルの1フロア、しかも最上階を借り切って、従業員さえも立入を制限されているとはいえ、用心するのは長年の癖だった。
「あの・・・」
紺野が申し訳なさそうに、頭だけ覗かせている。
「あの・・もう皆さん部屋の方に・・」
「何?」
聞き返した亜依の肩を希美は軽く叩いた。
「何言ってんの!今日の朝ごはんは、リーダーの部屋でって昨日話したじゃない!」
そうだった。いつもは各々ルームサービスを部屋でとっていたが、今日だけは全員で・・・リーダー矢口の提案だった。
「じゃ・・・」
元々は飯田に憧れてのばした腰まである長い髪を靡かせ紺野は出て行った。すっかり垢抜けたその容姿とはうらはらに、腰の低さは相変わらずだ。
「あ〜やばい・・」
あわてて準備を始めた。バタバタと走り回るスラリと伸びた足は少女の時のそれと明らかに違い大人への成長を表していた。
「先に行ってて〜」
寝起きの悪さも手伝ってか、軽いパニックにも見える。
希美は洗面所に駆け込む亜依に振り返りながら言った。
「ウンコ?」
亜依の目が再び希美を睨んだ。

「un.touched〜離別(わかれ)」第1章
第2章へ。

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 2002年10月8日から、のべ人の方に閲覧していただきました。ありがとうございます。

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