「〜絆3〜手紙の役割」　　みっちゃん様　執筆作品

　彼女から手紙が届いた。
　最近疎遠になっていて、メールアドレスも知らなかった。
　ご丁寧にも、新しいアドレスと住所が書いて有る。
　メディアでは解らないような近況も書いて有って、結構楽しめた。

　こうして手紙を読んでいると、昔の事が、今でも鮮明に思い出せる。
　オーディション受けて、５万枚手売りして、初めて歌番組に出て、三人増えて・・。

　既に吹っ切れた。未練は無い。今は他にやりたい事が有る。いい経験はさせて貰ったけど。
　彼女と出会って、ラジオを一緒にやって、色んな人と知り合えた。
　抜けるって言った時には、皆泣いていた。

　考えてみれば、最初に抜けたのが自分だった。たった一年とちょっとの付き合いだ。
　でもそれは、多分これからも、中々出会えないぐらい濃かったんだろう。
　殆んどの出来事が、未だに、ありありと思い浮かべる事が出来る。
　根性は付いただろうか。その点、感謝しなければならない。
　ああ、後もう一つ。彼女達に出会えた事にも、だ。

　ＴＶには、彼女達が映っている。ドリンクのＣＭだ。結構笑える。
　自分が居た頃には、考えられなかった。
　インターネットで調べた二つのタイプ、自分としては、バスケ編の方が・・。

　嘗ての親友が居る方に傾き、思わず苦笑を漏らした。
　しかし、やはりそっちに傾くだろう。
　だって、爆発してススだらけになってしまうのだ。
　アフロヘアも、ある意味、ツボにはまっている。
　正直、失恋編は殆んど普通の展開で、漫画のタッチが笑えるぐらい・・・
　どうやらあの人の毒舌がうつったようだ。

　ＣＭが終わり、番組が始まった。彼女達が、ゲストで出演している。
　ずっと前の夏にやってた学園ものの企画の続き。期末テストらしい。
　実は、知り合いに頼んでビデオに録画したものだ。

　彼女のイモっぷりは、最近パワーアップしているように思える。思い違いだろうか。
　あれから五年は経った。
　訛りは、抜けるどころか、５期メンバーに共鳴しているとしか思えない。
　かおりは交信状態が抜けているらしいが、それと同じように、普通は、訛りは抜けるものだろう。

　もっとも、生みの親のあの人が訛りＯＫと言っているし、それも彼女の特徴だし、自分も嫌いでは無い。
　それにしても、あの天真爛漫さというか、天然さというか、あれはどうにかならないだろうか。
　成績が発表されたが、結構、下だった。彼女も今年で２２になるというのに。
　おもしろいから、視聴者やファンとしてはＯＫなのだろう。元同僚としては、ちょっと不安になるが。
　まあ、半分ぐらいはＴＶのキャラクターとしてであって、実際はしっかりした所も有る。
　その点は大丈夫だ。

　番組が終わったので、便箋を取り出し、ペンを握る。

「前略、安倍なつみ様。相変わらずイモですか・・」

　反応する姿を思い浮かべ、クスッと笑った。

「〜絆3〜手紙の役割」（完）