「〜絆2〜メールの役割」 みっちゃん様 執筆作品
暑くなり始めた7月下旬の午後の昼下がり、テレビの画面にはいつも見るサスペンスドラマが映っている。
今は、2つ目の事件が起きた所らしい。
主役と警察が言い争っているのが解る。
「あぅぅ、だ〜あ〜…」
「よしよし」
娘と遊びながら、彩はそれを見ていた。
子供を見ていると、心が癒される。いつも、だ。
旦那も、疲れて帰って来ても、彩と娘の顔を見るとほっとするそうだ。
〜♪
突然、愛用のパソコンから音が響いた。メールが来たらしい。
「おろろ?誰だ?玲夢、ちょっと待っててねぇ」
側に娘を置き、馴れた手つきでメールソフトを起動させた。
マウスを操作し、送信者一覧を表示させる、とそこで彩の動きが止まった。
「へぇ〜………久し振りっしょやぁ…」
送り主は嘗ての旧友、いや、戦友と言ってもいいだろう。当時、現役最年少のメンバーだった。
脳裏に、様々な光景がフラッシュバックして来る。懐かしいものだ。
彩は、感慨に浸りつつ、件名一覧を表示させた。
「『大先輩にご挨拶』??……なんか…ヤな予感…」
彩は、背中に悪寒を走らせながら、本文を表示させた。
2ヶ月程経った頃、特別番組が流れた。
「あんたそれで満足かい……」
彩は、テレビに向かって呟いた。表情には、ほんの少し寂しさが入り雑じっている様子だ。
あのメールから1週間後に流れた記者会見では、事務所が準備していたらしい事が読み取れた。
「まぁ、あんたが決める事だけど、さ」
目の前のテレビからパソコンに目を移すと、それからも続いたメールのやり取りが保存されている。
時期が経つ程、中身も熟成されて来たようだ。言葉の裏を読むと、たまに未練が感じられる事が有った。
が、時間は待ってはくれない。前に進むしか、道は開けないのだ。
2日後、新着メールが届いた。
「お、ごっちんじゃん…どれどれ」
何となく予感がした。新しい道を歩き出した期待感が、胸に広がった。
娘を側に置き、マウスを操作して、本文を表示させた。
「〜絆2〜メールの役割」(完)
|