「居酒屋にて・・」 みっちゃん様 執筆作品
「ねぇ、これから飲みに行かない?」
ある日の楽屋で、圭織がなつみと圭に言った。
「え?いいけど・・」
「急にどうかしたべか?」
「え?別に・・・何と無くそういう気分になったからさ、あはは」
そう言って、圭織は頭を掻いた。
「まぁ・・・・・私は別にいいけど・・」
「なっちもいいよ」
そう答える二人に、圭織は上機嫌になった。
「そいじゃあ、早く行こう♪」
急かす圭織に、二人は慌ててついて行った・・。
三人の目の前に有るのは、こじんまりとした店だった。
「これってさぁ・・」
「いわゆる、”居酒屋”って言わないべか・・」
二人は、少し不満気味らしい。
「なぁによぉ〜〜。不満なのぉ〜〜?こう見えてもね、とっっっっっっってもいーとこなんだからね!!」
圭織は、ムキになって力説する。
「わ、解った解ったから、入ろ。ね?」
圭が、慌てて宥めた。
「なっちもお腹空いたべさ」
二人に宥められて、圭織は機嫌を取り戻した。
「そんじゃ、行くっしょ♪」
彼女は、そう言って暖簾をくぐった。
一通り注文を取ると、なつみと圭は、店内を見回した。
こざっぱりとしているが、客達は明るい表情で、賑やかな雰囲気を作っている。
「結構、いい店だべさ」
「そうだっしょ♪」
圭織となつみが話している処に、圭が参加して来た。
「でもさぁ、ここ、いつも来るの?」
「あ〜、時々ね。とってもいいお店なんだよ。常連さんとか、優しいし・・」
「へぇ〜〜・・」
圭は、感心したように頷いて、もう一度辺りを見回した。
「けどさぁ〜、紗耶香には、いつもびっくりさせられるべさ」
「あはは。確かにね」
なつみの発言に、二人ともうんうんと頷く。
「全くぅ〜。一言ぐらい、言ってくれたっていーのにさぁ、裕ちゃんも言ってくれなかったし・・」
圭織が、腕を組んで頬を膨らませる。
「まぁまぁ、圭織。紗耶香が復活したのはお目出度い事なんだからさ」
圭に宥められて、彼女も落ち着きを取り戻したらしい。
そうこうしている内に、三人のテーブルに、中ジョッキが三つ運ばれて来た。
「そいじゃあ、乾杯は、圭織にやってもらうべか」
なつみに言われて、圭織はちょっと驚いたようだ。
「なぁに目ぇ丸くしてんのよ。あんたリーダーでしょ♪」
「そ、そ〜ぉ?そいじゃあ、お言葉に甘えまして・・」
三人ともジョッキを持ったのを確認すると、それを少し浮かせて明るく言った。
「かぁんぱぁ〜〜〜い♪」
三人のジョッキが、乾いた音を立てる。
ゴクゴクと言う音が暫く聞こえた後、三人揃ってジョッキをテーブルに置いた。
「ぷっはぁ〜〜〜」
三人のタイミングが、見事に一致した・・。
三人の顔が少し赤い。ほろ酔い気分らしい。
「でも、小川さんとかも大変だべさ」
「あはは。良く解るな、途中参加の立場としては」
「でも、圭ちゃん達よりも大変じゃない?」
圭織が、ツマミを食べながら言った。
「それはそうかもね。今まで出した曲も覚えなきゃいけないべさ」
なつみが、手を止めて四人の顔を思い浮かべた。
「あ、でも・・・・私達も、再編成するでしょ」
今思い出したように、圭が呟く。
「あぁ、そっか・・」
圭織も納得した。
人が変われば、編成も変わる。今まで、何回か経験して来た事だが・・。
「でもなぁ〜・・・・・・やっぱり、なんか寂しいべさ・・」
「けどさぁなっち、それは成長してるって事じゃない?」
圭が少し考えてから、なつみに言った。
「なるほど・・」
「そーゆー考えも有るか・・」
二人が納得した処で、圭の携帯が着信を知らせた。
「あん?」
「ちょこっとラブ?」
「もしかして・・・・・紗耶香・・?」
彼女達の夜は、まだまだ続きそうである・・。
「居酒屋にて・・」(完)
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