モー娘。小説サイト
〜ある日の娘。たち〜

モー娘。小説サイト〜ある日の娘。たち〜Banner

 玄関

>>小説コーナー

 娘。のアルバム

 情報広場

 来訪記録

 我が家を紹介

 大家の部屋

 リンク集

【検索キーワード】

 「放課後、教室で」  正志様 執筆作品

 4月中旬の心地よい西日が差し込む教室の床には、真希とひとみの二つの影だけが、長く延びていた。

「ねぇ、よっすぃー。クラブなんにするつもり?」
「そうだな、運動系にしようと思ってるんだけどさ、ごっちんはどうするの?」
「私も運動系がいいんだけどねぇ、なかなか決めらんなくってさ。まだ時間あるからさ、明日考えよう〜と。それよりさ、よっすぃーのこと、教えてよ」
「はぁ?私の事って‥‥一体‥‥何が聞きたいのよ?」
 怪訝そうな顔をして、ひとみは真希を見上げた。

「そうだな、身長とか、趣味なんかは、この前聞いたし‥‥家族構成ってどうなのよ?」
「家族構成か‥‥お父さんとお母さん、お姉ちゃんと妹が一人ずつだけど‥‥じゃ、ごっちんの方は?」
「えっ、私ん家?両親は仕事で海外にいるよ。私とお姉ちゃんの二人暮しなんだよね。お姉ちゃん、今年からフリーターになったんだけどさ。よっすぃーの姉妹って、なんか特徴ってないの?」
「特徴ねぇ、ある事はあるんだけど‥‥もしも逢うようなことがあっても、言わないでよ、本人の前じゃ、絶対に」
「わかった、わかった。オッケー、約束するからさ。早く教えてよ」
 興味津々といったように、瞳をキラキラと輝かせて真希は頷いた。ひとみは、
しょうがないといった諦めの顔で話し出した。

「私の姉妹ってさ、みんな名前の最後に"み"がつくのよ。お姉ちゃんが"なつみ"、私が"ひとみ"で妹が"希美"って言うんだよね。お姉ちゃんとは4歳違うんだけど、私が生れてから2年間は北海道に住んでいたんだよ、うちの家族。そのせいか、わかんないんだけどさ、お姉ちゃんってば、その頃の名残らしく時々なまるんだよね。語尾が"だべさ"とかって、バカにするとすぐ拗ねるし、まぁ、妹の私が言うのもなんだけど‥‥とってもかわいい人なんだ。妹のほうは、これがまた‥‥中学2年生の割には、舌足らずの甘えん坊さんで、今でも時々私のベッドにもぐり込んでくるんだよね、困ったことにさ。私のことはさ、これぐらいにして、ごっちんのほうは?」
「うちか〜うちはさっきも言ったけど、お父さんとお母さん、仕事で一緒にアメリカにいるんだ。それでお姉ちゃんと一緒にこの街に引っ越して来たんだよね。私のお姉ちゃん、"真里"って言うんだけどさ、18歳の割にはかわいいしすっごい元気なんだよね。だけどさ、ちょっと信じられないくらい、ちっちゃいんだよね‥‥」
「ちっちゃいって、どのくらいなの?150センチはあるんでしょ?」
「ううん、それがね‥‥145センチ‥‥しか無いんだって」
「えぇ〜145!私が163だから‥‥18センチ差か‥18センチって言ったら‥えっ!こんなもんなの!うちの希美よりちっちゃいんじゃん」
「希美ちゃんって、中2の?いくつなのさ」
「確かね‥148って言ってたよ。でもクラスの中でも小さい方だって言ってけどな‥‥」
「そっか、うちのお姉ちゃんは、いまどきの中学生より小さいのか‥それって、相当ショックだな‥‥まぁ、元気一杯だからいいけどさ‥‥」
 真希は、悲しそうに顔を伏せた。

「ねぇ、ごっちんのお姉さんって牛乳、大嫌いでしょ?」
「そうだけどさ、なんで?」
「希美の奴もさ、牛乳大嫌いなんだよ。だから、ひょっとしてと思ったんだけど、ほら、よく牛乳飲むと大きくなるって言うじゃない?」
「私も、聞いた事あるな。そっか、だからか‥」
 二人は、顔を見合わせて吹き出した。

「ねえ、こんどよっすぃーの家に遊びにいってもいいかな?お姉さんと妹さんに逢って見たいんだけど‥‥」
「いいよ、でも私は先に、ごっちんのお姉さんに逢ってみたいよ」
「そう、なら今からうちに来る?お姉ちゃん、もう帰ってきてるはずだからさ、
時間大丈夫なら、うちにおいでよ。私、今日料理当番だし、ご馳走するよ」
「本当にいいの?ちょっと待ってよ。お母さんに電話してみるからさ」
 ひとみは携帯を取り出すと、電話を始めた。そんなひとみを、真希は優しい顔で見つめていた。

「うん。遅くならないように帰るからさ。いいでしょ?本当、ありがとう」
 ひとみは電話を切り、真希に笑顔を向けた。
「じゃあ、お邪魔させてもらおうっと、いいかな?」
「いいよ、買い物して帰るからさ、急いでね」
(ごっちんのお姉さんって、どんな人なんだろう。すっごい楽しみだな)

 二人は仲良く手を繋ぎながら、真希の家に急いで行った。
(ちょっと心配だな、お姉ちゃんの好きそうなタイプだからな、よっすぃーは‥‥)

「放課後、教室で」(完)

 小説を読まれてのご感想などを、「来訪記録」にぜひ書き込んでくださいね。
 2001年5月20日から、のべ人の方に閲覧していただきました。ありがとうございます。

Copyright© 2000-2003 E.Tacky(keibo@keibo-freeservers.com).All Rights Reserved.