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 「光の向こうに」  みっちゃん様 執筆作品

「梨華ちゃん、お早う♪」
「あ、麻美ちゃん、お早う♪」
 二人は、とある楽屋に居た。
「おはよ〜〜」
「あ、りんねさん、お早う御座いますぅ♪」
 鈴音が、眠そうな目を擦りながら、二人と挨拶を交わす。
「今日は新曲の発表か〜」
「梨華ちゃんも緊張してる?」
 そわそわして落ち着かないらしい。
「やっぱり、三人だけだとね、心細いでしょ。モーニングは、今は十三人でしょ?」
「あ・・・・はい、まあ。でも、皆も見てくれてますから」
 笑って返す。
「りんねさんは、緊張しないんですか?」
「そりゃまぁね。私も緊張はするけど・・」
 彼女はそう言って、新曲を入れたMDをプレーヤーに差し込んだ。
「TVを見てるファンの人達に、最高の自分を見て貰いたいし」
 聞いた二人は、こう思った。

『やっぱり大人だ・・』

 時間が近づいて来ると、梨華が何度も上を向いて息をフーッと吐いた。
 麻美は、読書をしているらしい。
 鈴音は、MDを繰り返し聞いている。
 それぞれのやり方で集中力を高めている様子である。
「なんか・・」
 不意に、梨華が口を開いた。
「人生初のTVの収録をする時みたい・・・いつもそうだな・・・・・新曲の初披露する時って・・」
「大丈夫よ。今までやって来た事をすればいいんだし」
 鈴音が柔らかな口調で言う。
「そうそう。練習だって、一杯して来たじゃん。でもやっぱり、初披露って緊張するけど・・」
 麻美が、笑って頭を掻いた。
 鈴音も、笑みを浮かべて微かに頷いた。


「そっか・・」
 梨華が呟いた。
 皆同じ。初披露の時は、誰でも緊張するものだ。
 娘。でも、圭は本を読む、希美と亜依は一緒に遊ぶ、圭織はぼーっとしているように見える・・。
 皆、自分なりの方法で集中力を高めているのだ。
「そうなんだ・・」
 次に息を吐いた時、梨華の肩の荷が降りた。
 化粧台に向かい、頬をペチペチと叩いて、気合いを入れた・・。


 麻美は、本を読んでいる。
 梨華の呟きが聞こえたのでそちらの方に目を向けると、何かを悟ったような輝きを目から放ち、鏡の前で気合いを入れたのが目に入った。
 彼女の集中力は、確実に高まっているらしい。
「そろそろかな・・」
 本を見て呟く。後四ページで、区切りのいい所だ。
 麻美はページをめくり、本を読み進めた。
 自分の中でも確実に集中力が高まっているのを、本能で感じていた・・。


「巻き戻し・・」
 鈴音は、そう呟くと、プレーヤーの巻き戻しボタンを押した。もう何回聞いたか、自分でも良く覚えていない。
 ふと周りを見渡すと、梨華は鏡に向かって気合いを入れ、それを見た麻美が少し笑みを浮かべて本を読むのが見えた。
 皆、準備は出来て来たらしい。時間を見ると、本番までもうすぐだ。
 鈴音は、MDのカセットを引き抜き、プレーヤーもバッグの中に仕舞うと、目を閉じた。
 周りの音が聞こえなくなって行く。彼女もまた、意識を集中力の高みに登らせて行った・・。


「そろそろ本番でーす」
 ADが声を掛けた。
 三人は、そっちを振り向き、元気に返事を出す。
 廊下を並んで歩く。出口の光が、一歩一歩歩く度に大きくなって行った・・。

「光の向こうに」(完)

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