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 「〜絆〜電話の役割」  みっちゃん様 執筆作品

 居間に有るテレビには、昼のワイドショーが映っていた。
 その音をかき消すように、電話が鳴った。
 一時の喧騒とその機械音を嫌うように、中年の女性がそれを取った。
「もしもし?」
「……もしもし…」
「あら、久し振りねぇ。一年振りくらい?」
 彼女には、その一言で相手が誰だか解ったらしい。

「テレビでさ、あの子が映ってたから…」
 電話の向こうの男性は、バツが悪そうに、そして照れ臭そうに話した。
 彼女は、クスッと笑みを漏らすとこう言った。
「デビューのお祝い?だったら、もうだいぶ前よ」
「あぁ……そう、だな」
 彼は、少し自嘲気味に息を漏らした。
「元気?」
「あぁ、こっちはこっちで何とかやってるよ。そっちは……元気そうだな、その様子じゃ」
 二人して笑い合った。
 軽く近況を話し合い、その後はほんの少し、沈黙が訪れた。

「………感想は…?」
「鳶が鷹を生んだ気分だよ。ちょっと感動した」
 彼女が唐突に切り出した質問に、彼は何の躊躇も無く答えた。
「まさか俺達が若い頃に聞いてた歌を、あの子が歌うなんて、な」
「あなた、よくフォークソング聞いてたものね」
 感慨に耽り、また静寂が訪れた。
「……じゃぁ、そろそろ…」
「……えぇ…じゃ…」
 彼女は、静かに電話を切った。

「たっだいまぁ〜!」
 彼女の娘が帰って来たようだ。家の中に慌ただしさが舞い込んだ。
「あぁ紗耶香、お帰り。早かったねぇ」
「うん、今日は仕事が順調に終わってさ。それより、お腹空いちゃったよ」
「はいはい、今作るから、ちょっと待ってな」
「はぁ〜い♪」
 彼女は、帰って来た娘を部屋に向かわせると、エプロン片手にキッチンに足を運んだ…。

「〜絆〜電話の役割」(完)

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 2002年9月15日から、のべ人の方に閲覧していただきました。ありがとうございます。

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