「ずっと待ってたんだから!」
…ビックリした……。
朝起きてテレビをつけたら、ニュースでやってて……。
だって、このところ電話もなかったし、最後に話したときもそれらしいこと言ってなかったし……。
混乱した頭でいろいろ考えてたら、だんだん腹立ってきた!
「ったくぅ! いっつも突然なんだからぁ!!」
辞めるときだってさ、相談もなかったしさ……。
♪〜〜。
着メロが鳴って携帯を手に取ったら、液晶パネルには「ごっちん」。
すぐに通話ボタンを押す。
「後藤、おは……」
「圭ちゃん! 帰って来る…帰って来るんだよ!!」
……あいさつもなし…でっかい声で耳、痛いし……。
「後藤…ちょっと落ち着きな」
「だってぇ! 帰って来るんだよ!!」
もうそれは分かったから……。
「でもさぁ…私らに相談もなしでさぁ…むかつかない?」
「またまたぁ。そんなこと言っちゃって…顔がニヤついてるよ」
うっそ…何で分かったんだろう……。
「っていうのは冗談だけど……」
「……あのねぇ……あんたが一番むかつく!」
とにかく後藤は、はしゃぎまくってた。
そりゃ、嬉しいだろうな。
私だって…嬉しいから。
後藤はろくに私の話も聞かないで、さんざん大騒ぎして、自分からさっさと電話を切っちゃった。
たぶん今ごろは、なっちにでも電話してるんじゃないかな。
……なっちの方がハイテンションで大騒ぎだろうけど。
♪〜〜。
懐かしい着メロ。
懐かしい発信者名。
やっと電話かけてきたか……ったく、テレビよりも早く知らせろっての。
…目が潤んできちゃったじゃんか……。
だから通話ボタンを押すなり、思いっきり言ってやったんだ。
「バカァ〜! 復帰するんなら、前もって電話してこい!!……ずっと…ずっと待ってたんだから……」
「ずっと待ってたんだから」(完)
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