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「♪もういくつ寝ると……」

「よいしょっと」
 久しぶりに家のおつかいに出てみると、またこれもいいもんだ。
「たまには家の手伝いもしなさい」
なんて、お母さんに言われて、最初はハッキリ嫌だったんだけど。
 だって、きょう12月17日は私の17歳の誕生日なのにさ。

 でも、近くのスーパーに行って、メモを見ながら肉や野菜を選んだりしてると、だんだん楽しくなってくる。
 レジのおばちゃんと、一言二言おしゃべりして、買い物袋に詰めて……。
 ズシッと重い袋を下げて帰ってると、妙な充実感を感じたり…ね。
 出掛けるときの不機嫌が嘘みたいに、ウキウキした気分だった。
 やっぱり人って、一瞬一瞬に生きてるんだねぇ。

「♪もう いくつ ねると お正月〜……」
 帰り道を歩いてると、途中にある保育園から、子ども達の歌声が聞こえてくる。
 そうだよねぇ。
 もう正月まで、後2週間くらいだもんねぇ。

 自分が子どもの頃…って言っても、今でもまだまだ子どもだけど、もっと幼かった頃も、よく歌ってたなぁ……。
 何の他意もなく、ただただ歌ってることが楽しくて、嬉しかった。
「…♪もう いくつ ねると お正月〜……」
 自分も口ずさんでみる。
 やっぱりいい感じ。
 幾つになっても、私は「歌う子ども」なんだなぁって……。

「ただいまぁ」
 シ〜ン……。
 あれ?
「お母さ〜ん?」
 キッチンに行ってもいない。
 取りあえず買った物を、冷蔵庫とかに仕舞ってと。

「お母さ〜ん…買い物、行ってきたよぉ?」
 出掛けたのかな?とか思いながら、リビングのドアを開けたら……。
 パ〜ンッ! パン、パ〜ンッ!!
 目の前を、クラッカーから飛び出た紙テープが流れる。
 何だ…これは?

「明日香、お誕生日おめでとう!」
 なっちに圭ちゃんに娘。のみんな?!……と思ったら、テレビの画面。
 部屋を見渡してみると、お父さんにお母さん、弟……。
「娘。の皆さんから、ビデオレターをもらったから…折角だから、派手にやろうと思ってな」
 満足げな顔のお父さん。
 好きだもんねぇ…こういう派手なこと。

「……父さんが、あんまりにもやる気満々だったから……」
 お母さんは、そんな風に言ってるけど、時間稼ぎにおつかいにやったの、明らかに共犯だよ。

「姉ちゃん、顔、赤いぞ?」
 ニヤニヤ笑ってる弟。
「う…うるさいの!」
 そりゃ…ちょっとは嬉しかったけどさ……。
 こんなドッキリ風なのは…ちょっとねぇ……。

「明日香〜、元気かい? もう17歳なんだねぇ。セブンティーン…いい響きだよね……」
 ビデオの中のなっちが、相変わらずの、どさんこなまりで呼びかけてくる。
 現役のときは、ホテルの部屋に集まって、誕生日パーティをやってもらったっけ……。
 懐かしく思い出されるよ。
 ほかのメンバーも次々にコメントをくれて……。

 本当に嬉しいバースディ・プレゼント。
 こんな1つ1つの出来事が、とっても大切な物なんだってことに気づくたびに、私も少しずつ大人になってるのかなぁって思ったりする。
 本当の大人には、まだまだだけどさ。
 私が、一人前の大人になれるのは……いつのことだろう?

「♪もう いくつ ねると……」
って訳には……いきそうもないよ。
 幾つになっても、私は「歌う子ども」のままみたいだから……。

「♪もういくつ寝ると……」(完)

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 2001年12月17日から、のべ 閲覧人数人の方に閲覧していただきました。ありがとうございます。

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