モー娘。小説サイト
〜ある日の娘。たち〜

モー娘。小説サイト〜ある日の娘。たち〜Banner

 玄関

>>小説コーナー

 娘。のアルバム

 情報広場

 来訪記録

 我が家を紹介

 大家の部屋

 リンク集

【検索キーワード】

「ネェさんに乾杯

 ――ハロプロ・コンサートが直前に迫って、私こと〈平家みちよ〉と中澤ネェさんはリハーサルの後に店に繰り出した。
「なぁ〜、みっちゃん聞いてるかぁ?」
「はいはい。ちゃ〜んと聞いてますよ」
 手酌で日本酒を注ぎながら、何度も繰り返される中澤ネェさんの問いに同じように答える私。
 2人で向かい合って飲んでいるときのネェさんは甘えたさん。自分の身の回りであったことを、とにかく私に聞いてほしくて仕方がないのだ。
(そこがまた、可愛いねんけど…)
 テーブルの向こう側で、真っ赤な顔してトロ〜ンと私を見ているネェさん。
 日ごろ、10人という大所帯の〈モーニング娘。〉でリーダー張ってるお人とは思えない。

「ネェさん、大丈夫かいな?」
「何が〜? あたしは全っ然だいろうぶ!」
 だいろうぶって…既にロレツが回ってない。
「くっくくく……」
 突然笑い出すし……。
「ネェさん、どうしたんやぁ?」
「あんなぁ、こないだなぁ、辻と加護と3人で控室におってな、なぞなぞしたんよ…」
「…ネェさん、頑張ってるんやなぁ」
 私は(話は通じてるんやろか?)とか思いながら、妙に感心してしまった。私は、あのチビちゃんたちと会話できるか自信がない。
「ホンでなぁ、そんときなぁ、辻が出したなぞなぞ、面白かったんやでぇ」
 ポッと赤く染まった色っぽい目元。話にノッてこいとばかりに、私の顔をジッと見つめる。
 仕方がない。ノッてやろうじゃないですか。
「…どんな、なぞなぞやったん?」
 途端に嬉しそうな表情になる。

「あんなぁ、『ちゃんと言いつけを守る子はだ〜れ?』って。答えはな〜んだ」
「はぁ? それ、なぞなぞです? ん〜……」
(こんなん、なんぼでも答えがあるやんか)
 そう思いながらも、一生懸命考える私って……。
「〈よゐこ〉さん?」
「ブッブ〜! 惜しいけど違うねんなぁ」
 何故だかかなり嬉しそうなご様子。
「…そんなん分からへんわ」
「降参? じゃあ教えて進ぜよう。ふっふっふ……」
 不敵に笑うネェさん。そんな大層なもんなん?
「答えは……『いい子(裕子)おネェさん!』やて!! いや〜ホンマ、可愛い子らやわぁ〜」
「は?」

(……ただの親バカやんか……)
 そんな思いが表情に出てしまってたらしい。
 気がついたら、ネェさんがこっちを睨(にら)んでた。
「何や? 文句あるん?」
「…い〜え別にぃ。可愛いメンバーと一緒で、リーダーも幸せやろなぁと思って」
 ワザと嫌みっぽく言ってみたんだけど……。
「そうやろ〜」
 もう目尻が下がりっぱなし。
 何かもう……うらやましく思う部分もあるが、やっぱり呆れるしかない。
「……はいはい。ネェさん、もう一献いこう」
「よっしゃ! 受けて立つでぇ」
 互いに盃を満たす。
『乾ぱ〜い!』
 ――夜更けに2人の声が響く。後にはただ、酒飲みが盃をあおっているばかりだった。

「ネェさんに乾杯」(完)

 小説を読まれてのご感想などを、「来訪記録」にぜひ書き込んでくださいね。
 2001年1月5日から、のべ人の方に閲覧していただきました。ありがとうございます。

Copyright© 2000-2003 E.Tacky(keibo@keibo-freeservers.com).All Rights Reserved.