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 「2人で1つの誕生日プレゼント」

 6月某日、某所。
 …って言うか、遊園地なんやけど。
 あたしは辻と2人で、貴重なオフをお出掛けに費やしてた。

「辻ぃ〜、次はどこ行くんや?」
「えぇとですねぇ。次はぁ…あ! ジェットコースター乗りましょ」
「怖いのはアカン」
 にべもなく言うたら、辻が泣きそうな顔をする。
 泣かんといて。
 あたしも悲しいなるわぁ。
 それでもな、怖いのはアカンねん。
 よしよしって髪を撫でてあげたら、ちょっと気を取り直したみたいに、また考え込む。

「……じゃ〜、観覧車が良いですぅ」
「観覧車かぁ…」
 また、あたしが何か言う前にグイグイと辻が手を引いて、列に並ぶ。
 それにしても、相変わらず力強いな。
「辻ぃ〜、観覧車、面白いんか?」
「えっとぉ、景色がいっぱい見えて、楽しいですよ」
「そっかぁ」

 誰や、そこで「母子連れみたい」って言うたの?
 どう見たって姉妹やろ、姉妹。
 綺麗な姉が、可愛い妹を連れて遊園地に遊びに来てる…まさにそんな風景やね。うん。

 それはさておき……。
 何でこんな事態になってるかって言うと……何でなんやろ?
 辻の誕生日に
「プレゼント、何がえぇ?」
って聞いたら、
「中澤さんもすぐに誕生日ですよねぇ?」
言われて……。
 辻からの提案で、プレゼントの「交換」をすることになったんやけど。
「辻が中澤さんと一緒に遊んであげますぅ!」
って言われたんや。確か。

 辻を遊園地へ遊びに連れて行ったるのが、あたしからのプレゼント。
 辻があたしと一緒に遊んでくれるのが、辻からのプレゼント。

 正直、辻と遊ぶのがプレゼント言うのは、よう分からんけど、たまにはえぇかな。
 辻へのプレゼントにはなるやろし。
 そう思て、そのプレゼントの交換をOKしたんや。
 ま、姉から妹への「愛」やね。

 それにしても、辻は元気いっぱいやなぁ。
「あれに乗りたい」
「これに乗りましょ?」
「あっちの列まで競争ですよ!」
 ――あたしは、目を離さんようにするのが精一杯。
 こんだけ動いて「何で?」って思うけど……。

「あれ、おいしそうです」
「これも食べましょ?」
「ジュースが飲みたいですぅ」
 ――これだけ食べたら、そりゃ太るわなぁ……。

 今は、観覧車の窓にしがみつくように、下を覗いてる。
「うわぁ〜! 中澤さん、景色がすごいキレイですよぉ!」
 目をキラキラさせてる。
 可愛いなぁ。

 あんまりにも覗き込んでるから、
「危ないで」
って言うたら、辻があたしを振り返って言うたんや。
「きょう、遊園地に来れてよかったですぅ!」
って。

 辻の笑顔を見てたら、あたしも何か嬉しくなってくるわ。
 いっつも、やんちゃばっかりで困らせてくれるけど、辻がおると、ホンマにパッと明るくなるんよね。
「そやなぁ。えぇ誕生日プレゼントになったなぁ」
「はいですぅ」
 きょうは、あたしにとっても最高の誕生日プレゼント。
 2人で1つの誕生日プレゼント。
 辻の笑顔が、リボンのようにプレゼントを彩ってくれてた。

 6月17日の誕生花は、しろつめ草。花言葉は「感化」。
 6月19日の誕生花は、赤いバラ。花言葉は「熱烈な愛」。

「2人で1つの誕生日プレゼント」(完)

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 2002年6月10日から、のべ人の方に閲覧していただきました。ありがとうございます。

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